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2010年3月アーカイブ

「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがありますか?「健康のため」を意味するギリシャ語に由来し、人間に利益をもたらす「善玉菌」を指しています。その代表が、腸内に棲み付く「乳酸菌」です。

ビフィズス菌やラクトバシラスなどの細菌は、人間が食べた食事の残りカスを分解して乳酸を作るので、乳酸菌と総称されます。腸内細菌の1割ほどを占めるとされています。

杏林大医学部感染症学教授の神谷茂さんによると、激しい下痢を引き起こす腸管出血性大腸菌O(オー)157などは中性の環境を好むそうで、乳酸菌は腸内を酸性にすることで、外界から侵入してくる病原菌を居づらくしてくれます。

乳酸菌はほかにも、便を送り出す腸の収縮運動【蠕動(ぜんどう)運動】を活発にして便秘や下痢を防ぐなど、腸の働きを整えてくれます。

乳酸菌をヨーグルトなどに加えて食べて、腸内に菌を増やせば健康に役立つはずです。そんな考えから「乳酸菌入り」などとなずけられた様々な食品、飲み物が売られています。

有効性を示す研究結果もあります。ロタウイルスが原因の下痢はよく見られますが、症状が出た直後から乳酸菌を含む食物を食べた人の下痢が続いた期間は、1.4日で、乳酸菌を取らなかった人より1日早く治りました。

開発途上国へ旅行する日本人の2~5割は細菌やウイルスによる感染性下痢になりますが、旅行中、乳酸菌を含む食品や薬剤などを毎日服用した場合、何も取らないより、下痢になる割合が減ったそうです。

外から取り入れる細菌は腸内に棲み付かず、排泄されてしまうので、毎日、食べる必要があります。その量は、商品により異なりますが、乳酸菌入りヨーグルトなどは100グラム以上が目安となります。空腹時に食べると菌が胃酸で殺されてしまうので、食後のほうが効果的です。

進学・進級など、春は、子どもの生活環境が一変することの多い季節です。新生活になじめず、悩む子どもも少なくありません。

「子どものうつ病ってなあに?」の著書もある東京都精神医学総合研究所の猪子(いのこ)香代副参事研究員は「10代のうつは決して珍しくない」と強調します。例えば、希望の学校に進学したものの、人間関係などに悩む中学生などのケースです。

日本と比べて実態解明が進むアメリカの調査では「10代の3~8%がうつ」と指摘されています。猪子研究員は「絶望から自殺を考える子もいる。早めの治療が必要」と警鐘を鳴らしています。

子どもがうつ病かどうかの目安は、アメリカ精神医学会の診断マニュアル(下記の表参照)にある九つの症状が参考になります。特に注意したいのが、1.一日の大半を泣いていたり、「へこんでいる」などと訴えるなどして、うつ気分が続いている 2.自分の好きな趣味を含めて、何をしても楽しくない―の二つです。少なくともこの二つのいずれかを含めて5項目が2週間以上続く場合、うつ病の可能性があります。この目安にあてはまらくても、1か2の状態が2週間以上続く時は注意が必要です。

うつ病は、性格や生活環境など、複合的な要因が複雑に関係しあって発症すると考えられています。特に進学、進級、転校、引っ越し、いじめを体験した時などは注意が必要です。ただし、子どもが憂うつそうにしているからといって、過度に不安になることはありません。「大切なことは、子どものうつ病を知っておくこと」と猪子研究員は話しています。

子どものうつ病が疑われる症状

  1. うつ気分が続く
  2. 何をしても楽しくない
  3. 急に体重が増減した
  4. 眠れない、または眠りすぎる
  5. じっとしていられない、または動けない
  6. 疲れやすい
  7. 自分をダメな子、悪い子だと思う
  8. 集中力がない
  9. 死ぬことを考えている

まもなく暖かな春です。自動車で行楽地などに遠出する機会も増えるのではないでしょうか。しかし、年をとってくると、どうしてもハンドルさばきも鈍ってきます。そこで、安全運転をするための注意点と心身のトレーニングをご紹介します。

交通事故総合分析センターによると、65歳以上が運転する自動車が原因となった交通事故の死者数は、増加傾向にあるそうです。2001年は2万9208人だったのが、06年には1万人増の3万9018人でした。交通事故全体の死傷者数が減少しつつあるなか、なぜ高齢者の事故は多いのでしょうか。

東京海上日動リスクコンサルティング主席研究員の北村憲康さんは「老化で視覚・聴覚といった身体能力や、安全運転を行うための運動能力などの必要な能力が落ちる」と解説しています。順法精神や感情を抑制する力なども弱まってくるそうです。

現在の65歳以上の免許保有人口は約1100万人で、全体の14%となります。しかし、これからは人口の多い40~64歳世代が高齢化し、事故はさらに増える危険性が高いといわれています。

北村さんは、高齢者や周囲の家族が本人の身体能力や順法精神などを診断できる30問のチェックシートを作り、著書「安全運転寿命」で紹介しています。交通事故の原因を調べてきた経験を反映させてものです。

設問すべてにあてはまると、計25点になります。北村さんは、安全運転を維持できる年齢の上限を日本の平均寿命などから、75歳に設定しています。75からあてはまった点数を引くと、その値が自分が安全運転できる年齢を示します。たとえば25点なら、その年齢は50歳となるわけです。

名付けて「安全運転年齢寿命」です。北村さんは「実年齢よりも低い数字が出る場合もあるが、自分の状態をチェックする目安として利用してほしい」と話しています。

安全運転寿命チェックリスト(抜粋)

  1. 車庫入れが苦手である…0.5点
  2. 最近になって視力の顕著な衰えを感じる…1点
  3. 最近、よく転んだり、つまずいたりする…1点
  4. 並走、あるいは前方の車の割り込みに気づくのが遅い…1点
  5. 自分自身の運転はうまいと思っている…0.5点
  6. 黄色信号で停止することはあまりない…1.5点
  7. 同時に複数のことを要求されると特に焦る…1.5点

詳しくはこちら

元気な骨を作るには、運動も大切になります。骨に適度な負荷をかけることで、骨量が増えるためです。実際、負荷のかからない無重力の宇宙空間で長期過ごした後に帰還すると、骨が弱くなることが知られています。長期間、寝たきりで過ごした場合も同様です。

骨粗しょう症になった高齢者に起こりやすくなるのが、太ももの付け根の骨折です。西浦田整形外科の院長、阪本桂造さんは「ほかの部位の骨と違い、太ももの付け根は骨折するとつきにくい。大がかりな手術が必要になるため、日頃から骨を強くしておく必要があります」と話しています。

体力に自信があれば、ゲートボールや太極拳など、好きな運動に取り組むようにしましょう。しかし、そうでない人の場合は選択肢が限られます。そこで阪本さんは「ダイナミックフラミンゴ法」を推奨しています。簡単に言えば、片足立ちのことです。

阪本さんによると片足立ちをすると両足で立っている場合と比べ、太ももの付け根には約2.75倍の負荷がかかります。左右1分ずつ行うと、約53分歩くのと同じ負荷になるといいます。

具体的には、左右1分ずつの1セットを1日3回行います。連続して1分できなければ、最初のうちは途中でもう1方の足をついてもかまいません。また、壁や柱、イスの背などに手をついて行うと、体を安定させることができます。

阪本さんは1993年から10年間、骨粗しょう症の人に片足立ちを1日3回実践してもらいましたが、3ヶ月後には、約6割の人が太ももの付け根の骨量が増えました。その後、骨量は穏やかに減少しますが、運動を始めた時期の骨量は持続されました。「元々、片足で15秒程度しか立てない人には有効。骨盤周辺の筋力やバランス感覚を養い、転倒を予防する効果も期待できます」と阪本さんはアドバイスしています。

ただ、片足立ちをすると、ひざには太ももの付け根以上の負荷がかかります。ひざに痛みがある人にはお勧めできません。

また、カルシウムが吸収されるのに必要なビタミンDを体内で作るためには、紫外線にあたることが必要です。1日15程度で十分なので、日光を浴びるように心がけましょう。

ダイナミックフラミンゴ法

  1. 背筋を伸ばし、両足をそろえて立つ。腕は体の脇に軽くつける。
  2. 右足を踏み出すように床から5センチほど浮かせ1分間静止。終わったら、左足で行う。

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