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2009年9月アーカイブ

せきが止まらないとき、まず思い浮かべるのが市販のせき止め薬です。しかし、どんなせきにも有効というわけではありません。「市販のせき止め薬を使用していいのは、たんの出ない乾いたせきの場合」と話すのは、金沢大学病院の藤村政樹准教授です。

せきは、気管内のウイルスや細菌などの異物をたん(粘液)と一緒に対外へ出すための体内防御反応です。気管内の気道壁にある細かい線毛が、徐々にたんを運ぶとともに、せきで一気に排出するというメカニズムです。

一方、せき止め薬は中枢神経に働いてせきを止めます。つまり、たんがあってもせきは止まってしまいます。「そうなると、たんを体外に排出できなくなるばかりか、たんが肺に落ちて肺炎になってしまう危険もある」と、藤村さんは説明しています。

たんを伴うせきが長引く場合は、かぜ以外の疾患が隠れている可能性もあります。「せき止め薬に頼らず医療機関へ」が鉄則でしょう。

たんが出ないせきに対しては、薬剤師に相談し、早めにせき止めを使うほうがいいでしょう。薬を使わないでいるうちに、せき込むことで、のどの粘膜を痛めてしまい、そこから感染症を引き起こすことがあるためです。また、せきは体力をひどく消耗させますし、映画館や食事に行けないなど、生活上の不自由も生じます。ただ、乾いたせきでも長引くようなら医師の診察をおすすめします。

せきの予防のためには、住まいの環境に気を配ることも大事です。せきぜんそく、アトピーせきなどのアレルギー性のせきを防ぐには、「じゅうたんを化学繊維のものに替える、ぬいぐるみを置かないなどの工夫も必要。エアコンなどのカビも要注意です」と藤村さんも話しています。

これからの季節、就寝時は、加湿器や湿ったタイプのマスクの使用もお勧めです。

秋も深まり日が短くなるにつれ、何もやる気がしなくなってくるということはありませんか?もしそうなら、日照時間が短くなることで発症する「冬季うつ」かもしれません。

冬季うつでは、

  1. 朝起きにくく日中も眠気が強い
  2. 炭水化物が無性に食べたくなる
  3. 物事への意欲・興味がなくなる

などの症状が表れます。

食べる量が増え、冬だけ体重が数キロ増える場合も多く、また一方で悲愴感は少ないようです。これは、目から入る光の刺激が減り、脳内で気分を調整する神経伝達物質のセロトニンの分泌量も落ちるのが原因とみられています。

国立精神・神経センター部長の三島和夫さんによると、別表のチェックリストで12点以上だと、冬場に発症する可能性が高く、8~11点は予備軍で、国内でも緯度が高い地域に引っ越したり、室内での仕事が増えたりすると発症する恐れがあるということです。

冬季うつチェックリスト

Q 季節によって各項目はどのくらい変化しますか。

  なし:0点、少し:1点、中程度:2点、かなり:3点、極端に:4点

  • 睡眠時間
  • 人とのつきあい
  • 全般的な気分の良さ
  • 体重
  • 食欲
  • 活動性

評価:合計が12点以上だと冬場に発症の可能性が高い。8~11点だと予備軍。

症状は早ければ9月後半に始まり、翌年4月ごろまで続きますが、光を秋から積極的に浴びることで発症を防いだり、和らげたりできます。三島さんは曇りの日でも30分以上、散歩などで外出することを勧めています。天候不良で外に出られない日は、窓際で1時間程度屋外を見続けましょう。

肉、魚、豆腐、ナッツ類、バナナなどを食べることも大切です。これらの食べ物には、セロトニンのもとになるアミノ酸「トリプトファン」が多く含まれています。

球場のマウンドを上回る5000~1万ルクスの光を発する市販の照明器具の活用も冬季うつの対策になるようです。秋冬も夏と同じだけ光を浴びられるよう、早朝や夕方に机の脇に置いておくといいかもしれません。最近では、光療法 も注目をあびていますので、ぜひ、専用器具の使用もためしてみてはいかがでしょう。

陸上400mハードル競技で北京五輪代表となった為末大選手などのスポーツ選手が動きを取り入れたことで有名になったのが「ナンバ走り」です。古武術の「体をねじらない」という考え方を表しており、最近注目されています。

「ナンバ」は右手右足、左足左手を同時に出す足の運び方のことです。昔の日本人が普通に行っていた身のこなしとされています。

語源は、歩きにくい場所を表す「難場」や、「南蛮」渡来によるとする説がありますが、よくわかっておりません。明治以降にナンバの動きは日本人からなくなりましたが、手を大きく振って足踏みする歌舞伎の演技方法「六方(ろっぽう)」や相撲のすり足に、ナンバの動きが残っています。

桐明学園大学教授の矢野龍彦さんは、このナンバの動きを研究し、大学の授業で学生に指導しています。

 ナンバが生まれた背景について、矢野さんは「着物で生活していたためではないか」と話します。同じ側の手と足を出す動きを繰り返した方が、現代の歩き方よりも胴体をねじる動作が少なく、着物が着崩れないということが考えられます。

「ナンバ歩き」「ナンバ走り」は体をねじらないため、体への無理が少なく、楽な歩き方なのです。

平らな場所では楽なのかどうかを意識できなくても、抜け道や階段で試してみるとわかりやすいと思いますが、手と足を同時に出していくのが、楽な階段の上り方です。右半身、左半身を交互に倒すようにして、足を階段に乗せていくイメージです。

山登りの途中にきつくなると、無意識のうちに、前に出す足のひざに手を置く人は多いはずです。また、後ろ歩きをすると手と足の動きが同じになると思います。これらもナンバで説明できます。

じつは、ナンバ歩きは、右脳の活性化にも効果的です。思考にいきづまったら、ぜひ、ナンバ歩きをお試しください。いいアイディアが浮かぶかもしれません。

ちなみにある研究組織では、ナンバから現代のような歩行になった理由を「軍隊登場のため」としています。手と足を逆に動かすと思考回路が低下し、命令どおりに行動させるのに都合が良かったということです。

卒業式で、手と足を一緒にだして笑われていた子がいましたが、彼らこそ正しかったのかもしれません。

ぽっこりおなかをへこますには、内臓の入った腹腔(ふくくう)を脇からコルセットのように引き締める「腹横筋」の強化が効果的です。その方法として、ボディービルダーで、身体運動科学が専門の東大教授である石井直方さんが勧めるのが「ドローイン(Drow-in)」という動作です。

英語で「内側へ引く」という意味になります。きついズボンをはこうとして、腹をへこます動きと同じものです。呼吸は止めなくてもかまいません。「簡単な動きだが、これで『腹横筋』が緊張し、強化される」と石井さんは話しています。

最初は1回に30秒ぐらいを目安に、腹をへこました状態を保ちます。慣れてきたら、時間を延ばしたり、回数を増やしたりして、より強化を図ってください。

このドローインを続けると、一ヶ月程度でも腹囲減少が期待できます。

しかし、これで脂肪が減ったと思うのは間違いです。「効率的に脂肪を減らすなら、やはり有酸素運動だ」と石井さんは指摘してます。ウオーキングなどの有酸素運動は、持続的な運動で酸素を消費し、脂肪を燃やす効果があります。

そして、この有酸素運動にドローインを組み合わせると、さらなる効果が期待できるそうです。石井さんらが行った実験では、10分間の歩行で、ドローインしながらの歩行と通常歩行を30秒ずつ交互に繰り返すと、通常歩行だけの場合よりカロリー消費量が40%前後上昇しました。

おなかが気になる方は、ぜひ、このドローインとウオーキングを組合せて、やってみてください。内蔵脂肪は、皮下脂肪よりも3倍ほど減りやすい性質だそうなので、努力も現れやすく、やりがいもあると思います。

ダイエットや偏った食生活は、生理の不調につながります。助産院で栄養相談を行っている管理栄養士の岡本正子さんは「特に若い世代は食事と生理の関係を理解し、きちんとした食生活を送ってほしい」と指摘します。

生理不順や無月経、生理痛など生理に伴う不調は、日ごろの食事のとり方によって改善できるといいます。「病気が原因ではない場合、無月経や生理不順は栄養バランスの乱れが要因のことが多い」と岡本さんは話しています。

薬ぜんの考え方をもとに

  1. ショウガやネギなど体を温め、体を冷やさない食材を使う
  2. 季節の食材をその特性にあった調理法で調理する
  3. レバーやゴマ・ミルクなど鉄分が豊富な食材を使う
  4. エネルギー源となる穀類・イモ類・豆類を日常的にとる
  5. 彩り・香りの良い食材を使う

などを心掛けると良いといいます。

1~5のポイントを踏まえ、今の季節の食材を使った一食分の献立としては

  • ニンジンと新ショウガのご飯
  • ニンジンのポタージュ
  • カツオのカルパッチョ
  • モロヘイヤのゴマ酢あえ
  • ハーブティーのゼリー

のようになります。ショウガは体を温め、ニンジンやカツオ、モロヘイヤ、ゴマなど種実類は栄養豊富で、積極的にとりたい食材です。

一方、生理中の不快感解消に、チョコレートを食べたりコーヒーをがぶ飲みしたりする人もいるようですが、岡本さんは「これらの食品に含まれるカフェインは神経を敏感にし、緊張を誘うので、生理中の不快解消にはなりません」と話しているので、ご注意ください。

また、体操デザイナーの湯澤きよみさんは、産婦人科医の松本清一さんと共に生理痛を和らげる体操として「マンスリービクス」を考案しております。

マンスリービクスについては、コチラをご覧ください。

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